専門分野:食品機能化学、細胞制御工学、抗体工学

   研究課題:機能性食品成分の生体内標的分子の同定とその遺伝子発現情報に基づいた疾病予防食の開発


主要な研究の概要

現在の特定保健用食品に代表される機能性食品は、特定の機能性成分の量を単に増加させることでその機能性の効力を高めることを期待した設定となっていますが、抗酸化ビタミンの過剰摂取が逆にがん疾患を惹起するといった、単一成分の過剰摂取による重篤な弊害が指摘されています。これは医薬品同様、特定の成分に対する効き方が、個人間の遺伝的素因の違いによる影響を受けることを示しています。実際、緑茶カテキンの抗がん作用においても、我々が発見した緑茶カテキンの標的分子の量を低下させるとその効果が消失するだけでなく、逆にがん細胞の増殖が促進されることを見いだしています。つまり、機能性食品成分の標的遺伝子が、この遺伝的素因の本質である可能性を示唆しています。
最近、食品科学の新たなパラダイムとして、1)各々の機能性食品成分の効き方を決定する遺伝的背景の解明(ニュートリゲノミクス)、2)機能性食品成分の作用効率を他の食品によって高めるための食品設計(食べ合わせの科学)、3)各人の体質に適応した機能性食品の創製(テーラーメイド食品)、などが注目されていますが、食品成分の機能性に関与する標的分子に関する研究は、こうした分野を支える科学的基盤として役立つことが期待されます。また、機能性食品成分の標的分子に関する情報を基に、食品成分の多彩な生理機能を模倣した分子標的薬の創薬へも展開させていきたいと考えています。
      

機能性食品成分 

機能性食品成分がその標的分子を介して動かすタンパク質の網羅的解析およびそれに基づいた食機能関与バイオマーカーの探索


戦略的研究テーマ

1) 機能性食品成分の効き方を決定する遺伝子(感受性決定遺伝子)の
   解明とそのデーターベースの構築
2) 食習慣に起因する慢性疾患の原因究明
3) 各人の体質に適応した食品(テーラーメイド食品)を開発するための
     機能性食品成分の探索とその作用効率を高める手法の開発
4) 機能性食品成分の生理作用を模倣した分子標的創薬への展開

主要な研究論文、著書

1) Tachibana, H., Koga, K., Fujimura, Y., and Yamada, K. A receptor for green tea polyphenol EGCG. Nature Struct. Mol. Biol., 11, 380-381 (2004).
2) Umeda, D., Tachibana, H, and Yamada, K. Epigallocatechin-3-O-gallate disrupts stress fibers and the contractile  ring by reducing myosin regulatory light chain phosphorylation mediated through the target molecule 67kDa laminin receptor. Biochem. Biophys. Res. Commun., 333, 628-635 (2005)
3) Fujimura,Y., Yamada, K., and Tachibana, H., The involvement of the 67 kDa laminin receptor-mediated modulation of cytoskeleton in the degranulation inhibition induced by epigallocatechin-3-O-gallate, Biochem. Biophys. Res. Commun., 348, 524-531 (2006)
4) 立花   4) 立花宏文, 免疫機能と栄養、アクティブシニア社会の食品開発指針
 サイエンスフォーラム, 152-159(2006)
5) 立花宏文, 植物ポリフェノールの抗アレルギー作用, Food style 21, 10 (7) 44-46 (2006)
6) 立花宏文, 緑茶カテキン受容体を介したカテキンの機能性発現、バイオサイエンスとインダストリー、64 (12), 680-682 (2006)

主要な研究手法、技術

・抗肥満食品因子の評価系・探索と活用
・抗糖尿病食品因子の評価系・探索と活用
・抗ストレス食品因子の評価系・探索と活用
・抗アレルギー食品因子を利用した食品開発
・緑茶べにふうきやメチル化カテキンをベースにした新機能性食品(特保)の開発
・メタボリックシンドローム改善遺伝子の探索とその活用
・ヒト型抗体酵素の開発