研究課題:微生物の機能とシステムを融合デザインする統合微生物学をめざす!!

主要な研究の概要

当該分野では、食品・医薬・環境保全のための微生物利用技術の開発を目的として、機能デザイン部門の他の分野だけでなくシステムデザイン部門の全分野と強力な連携を図り、バイオアーキテクチャーセンターの研究を進展していくつもりです。
当該分野は以下のような基礎から応用まで幅広い研究を行っています。
1. 微生物生態系に関する研究
2. 微生物の生産する生理活性物質の構造と機能に関する研究
3. 微生物の機能改善を目指した生化学・遺伝子工学
4. 微生物の培養工学と代謝工学に関する研究
5. 地球環境保全のための微生物利用技術の開発
先ず、未知の微生物の実体(生態系)を知ることが当該分野の根幹です。次に、それらの中から有用な微生物を発掘(スクリーニング)します。当該分野における働き手を見つけるのです。次の研究は大きく2つに分かれます。1つは、有用微生物が生産している生理活性物質や酵素の構造と機能を知るための生化学的な研究です。もう1つは、有用微生物そのものやその生産物の機能を向上させるために、新しい培養法を開発したり、代謝工学や遺伝子工学を行います。最終的に、これらの研究により得られた情報や技術を我々の最終目標である食品・医薬・環境保全のための微生物利用技術の開発に応用したいと願っています。
2つの例を紹介しましょう(詳細な点や他の具体的な研究テーマについてはホームページをご覧ください)。
1. 情報工学的手法を用いたアセトン・ブタノール発酵の効率化とバイオディーゼルの開発(「アセトン・ブタノール発酵」のファイルを挿入)
2. 新奇ペプチド性抗菌物質「バクテリオシン」生産菌の探索および食品保存・感染症予防への応用(「バクテリオシン」のファイルを挿入)

主要な研究論文、著書

1) Y. Tashiro, K. Takeda, G. Kobayashi, and K. Sonomoto, High production of acetone-butanol-ethanol with high cell density culture by cell-recycling and bleeding, J. Biotechnol., 120(2), pp.197-206 (2005).
2) 園元謙二, 小林元太, アセトン・ブタノール発酵, 生物工学ハンドブック,日本生物工学会編,コロナ社,pp. 742-743 (2005)
3) 青木義則,沖田雅一,星野貴由,川口浩美,党 正治,石崎文彬,園元謙二 (植田充美・近藤昭彦 監修), アセトン・ブタノール発酵による新しい燃料生成プロセス, エコバイオエネルギーの最前線―ゼロエミッション型社会を目指して―,シーエムシー出版,pp. 259-265 (2005).
4) T. Zendo, S. Koga, Y. Shigeri, J. Nakayama, and K.i Sonomoto, Lactococcin Q, a Novel Two-Peptide Bacteriocin Produced by Lactococcus lactis QU 4, Appl. Eniviron. Microbiol., 72(5), pp.3383-3389 (2006)
5) 善藤威史,中山二郎,園元謙二, 乳酸菌バクテリオシンとその応用研究, 防菌防黴,34(5), pp.277-283 (2006).
6) S. M. Asaduzzaman, J. Nagao, Y. Aso, J. Nakayama, and K. Sonomoto, Lysine-oriented charges trigger the membrane binding and activity of nukacin ISK-1, Appl. Eniviron. Microbiol., 72(9), pp.6012-6017 (2006)

アセトン・ブタノール(ABE)発酵 

アセトン・ブタノール(ABE)発酵は対数増殖期には有機酸(酢酸、酪酸)を生産し、対数増殖期にはソルベント(アセトン、ブタノール、エタノール)を生産する複雑な代謝経路を持っています。そのため、発酵の制御が難しく、効率的な発酵システムは未だ構築されていません。ABE発酵の代謝経路をモデル化することで、様々な培養条件を労力を要さずに短時間で検討することが可能となります。これまでに当研究室ではWinBEST-KIT(岡本研究室参照)を用いて代謝経路のモデルを構築し、シミュレーションを行いました。

アセトン・ブタノール(ABE)発酵 

シミュレーション値の挙動(上図の実線)は様々な培養条件による実験値の挙動(上図の●などの記号)と一致しました。以上の結果、構築したモデルは培養条件の検討に有効なツールであることが明らかとなりました。今後このモデルを用いて様々な培養条件の検討や代謝解析を行う予定です。