主要な研究の概要
分子生物学の発展により、生体内の個々の遺伝子解析からゲノム解析へ、さらにそこから遺伝子セットとしての機能解析が急速に進んでいます。また、同様に細胞内の個々の代謝過程(酵素反応)から代謝系の解析へ進展し、代謝セット(細胞内タンパク質ネットワーク)としての機能解析も行われようとしており、生命のシステム論的解析(システムバイオロジー)がますます進むものと期待されます。とりわけ微生物等での生物生産システムの効率化、最適化、最適制御を目指す場合、それに関わる代謝経路に存在する制約条件(ボトルネック)を同定し、そこを集中的に改善、制御することで、目的とする代謝産物の増収が期待できます。そのためには、パスウェイシミュレータの設計・開発、パスウェイ解析等の情報科学的手法および情報科学駆動型実験デザインは必須です。この分野では、独自に開発した代謝経路解析シミュレータBEST-KIT等を用いて、(1)システム同定・推定、(2)システム解析、(3)システム制御、(4)システム設計といったシステムバイオロジーの4つの戦略の数理・情報科学的解析手法を確立し、それらを実際の代謝ネットワークに適用しています。また、代謝経路を生命化学情報通信網と捉え、そこに潜む化学物質の情報通信の恒常性(ホメオスタシス)の制御機構を、情報通信の適応型ルーティングの設計に組み入れ、輻輳制御に適用するなどの研究も行っています。
主要な研究論文、著書
1) "WinBEST-K
IT: Windows-ba sed Biochemica l Reaction Simulator for Metabolic Pathways", Journal of Bioinforma tics and Computatio nal Biology, 4(3), 621-638 (2006),Tat suya Sekiguchi, Masahiro Okamoto.
2) "Biologically Inspired Adaptive Routing by Mimicking Enzymic Feedback Control Mechanism in the Cell", Lecture Notes in Computer Science, 3853, 371-378 (2006),Tak ashi Kawauchi, Tadasuke Nozoe, Masahiro Okamoto.
3) "Integrated Comprehens ive Workbench for Inferring Genetic Network: VOYAGENE", J. Bioinforma tics and Computatio nal Biology, 2(3), 533-550 (2004),Yuk ihiro Maki, Yoriko Takahashi, Yuji Arikawa, Shoji Watanabe,
Ken Aoshima, Yukihiro Eguchi, Takanori Ueda, Sachiyo Aburatani,Satoru Kuhara, Masahiro Okamoto.
4) “システム生物学”,はじめてのバイオインフォマティクス(藤 博幸編, 講談社サイエンティフィック) 139-154 (2006), 岡本正宏.