専門分野:細胞工学、生物生産工学、食品機能

研究課題:ヒト細胞を用いたタンパク質生産、食品機能解析


主要な研究の概要

1)ヒト細胞による組み換えタンパク質生産
組み換えタンパク質の生産には、無細胞系や微生物、酵母、動物細胞など様々な方法が開発されてきました。しかしながら、タンパク質の高次構造が変化したり、糖鎖修飾が不完全であるなどの欠点も知られています。そこで、私たちはヒト細胞を利用することにより、こうした問題を解決できるのではないかと考え、タンパク質生産に適したヒト細胞の樹立を行っています(図1)。最近の研究進展により、ヒト細胞による生産の有用性が認識され始めており、この技術が医薬生産に応用することも可能であることから、医薬生産基準(Good Manufacturing Practice: GMP)に従って細胞樹立、タンパク質生産を行う施設を導入し、様々な有用タンパク質生産へとさらなる展開をはかっています(図2)。

ヒト細胞による外来遺伝子由来タンパク質生産 ヒト細胞による外来遺伝子由来タンパク質生産

      図1 ヒト細胞による外来遺伝子由来タンパク質生産
     (クラゲ由来の緑色蛍光タンパク質を生産するヒト細胞)

GMP対応細胞培養施設 

      図2 GMP対応細胞培養施設

2)ヒト細胞を用いた食品成分中の機能性因子探索技術の開発

機能性食品開発では、生理機能を解明することがひとつの必要条件となります。そこで、特に抗アレルギー機能、ガン転移抑制機能に着目して、ヒト細胞を用いた機能性因子探索技術を開発しています。抗アレルギー機能性検定系では、ヒトの末梢血リンパ球を用いて、アレルギーの引き金となるIgE型抗体の生成を誘導する技術を開発し、生体内での免疫学的なメカニズムに似た系を構築しました(図3)。また、ガン転移抑制機能検定系では、血管壁を模した人工膜と細胞シートを通過する細胞を計数することにより、転移抑制を調べることができる系を構築しています(図4)。

ヒト細胞による抗アレルギー機能性検定系  

      図3 ヒト細胞による抗アレルギー機能性検定系

ヒトガン細胞の遊走をとらえた走査電顕像 

      図4 ヒトガン細胞の遊走をとらえた走査電顕像

主要な研究論文、著書

1) 川原浩治、山本(前田)万里、ヒトIgE抗体産生リンパ球の誘導メカニズム、アレルギー科、科学評論社(2000)
2) 川原浩治、ヒト培養細胞で作る抗体試薬、バイオサイエンスとインダストリー(2001)
3) 川原浩治、特許「タンパク質生産新規ヒト細胞株、細胞株の選択方法、細胞株を利用したタンパク質生産方法等」(2004)など

主要な研究手法、技術

フローサイトメーターによる細胞解析、分取。レーザー共焦点顕微鏡による細胞内蛍光観察、解析。バイオマニピュレーターによる細胞操作、新規細胞の作出。GMP細胞培養施設を利用した医薬生産。一般的なタンパク質の分離、精製、検出技術。生体分子間相互作用装置によるタンパク質解析など。
私たちの特徴として、細胞培養技術については、新規細胞の作出から目的細胞のクローン化、産業利用のための法令準拠した生産まで幅広い技術を有しています。