研究分野:糖鎖・脂質の代謝及び機能生物学
研究課題: スフィンゴ脂質シグナリングのネットワークとその生物機能の解明、高度不飽和脂肪酸生合成マシーナリーの解明


主要な研究の概要


スフィンゴ脂質は、形質膜マイクロドメイン(ラフト)を構築して細胞間および細胞内シグナル伝達のプラットフォームを形成するばかりでなく、外界からの刺激に応答して代謝され、シグナル分子として細胞の生死、増殖、移動等に深く関与しています。スフィンゴ脂質シグナリングの破綻は、アトピー性皮膚炎やガン等様々な疾患を引き起こす可能性があります。一方、スフィンゴ脂質は様々な食品素材に含まれており、機能性食品としての利用も考えられています。シグナル分子としてのスフィンゴ脂質の機能を明らかにするためには、個々の代謝酵素(遺伝子)を解析するだけではなく、それらの遺伝子発現のネットワーク解析と代謝産物の網羅的解析が今後さらに重要になります。一方、EPAやDHAのような高度不飽和脂肪酸をシングルセルで効率よく生産するための基盤研究にも力を入れています。本センターでは、ゼブラフイッシュ初期発生系、細胞性粘菌、スフィンゴモナス等を用いたスフィンゴ脂質シグナリングのネットワークとその生物機能の解明およびラビリンチュラを用いた高度不飽和脂肪酸生合成マシーナリーの解明を目指しています。本部門で得られる成果は、生命科学の先端的知見となるばかりでなく、医薬・試薬、高機能食品・素材等を創出する新しい概念,基盤となる情報を提供することが期待されます。

スフィンゴ脂質代謝とシグナリング分子の産生



主要な研究論文、著書


1. M. Ito, M. Tani, and Y. Yoshimura: Neutral ceramidase as an integral modulator for the generation of S1P and S1P-mediated signaling. ‘Sphingolipid Biology’ pp 183-196, (Y. Hirabayashi, Y. Igaashi, A. H. Merrill, Jr, eds), Springer (2006)
2. M. Tani, Y. Igarashi, and M. Ito: Involvement of neutral ceramidase in ceramide
  metabolism at the plasma membrane and in extracellular milieu. J. Biol. Chem. 280
 36592-36600 (2005)
3.伊東 信、安倍英里子、林 康広、林 雅弘 特願:2005-342182 (九大TLO)
スキゾキトリウム属の微生物を用いた長鎖高度不飽和脂肪酸含有リン脂質の
製造方法