アセトン・ブタノール (ABE) 発酵の動的モデル化と感度解析:
WinBEST-KITによるシステム解析と実験的手法の連携

 動的モデルは代謝解析や培養条件の最適化に有効であるが、アセトン・ブタノール発酵の代謝経路は複雑であるため、これまでに動的モデルの構築例はない。そこでABE発酵の代謝解析および培養の最適制御を目的とし、我々が開発したシミュレーターWinBEST-KITにより動的モデル化を行った。ブタノールによる阻害効果をモデルに導入し、さらにグルコース枯渇後にエネルギー依存的な代謝反応が停止するモデルを構築したところ、モデルによる計算値は初発グルコース濃度36.1−295 mMにおける実験値と定性的に一致した(r2=0.901)(図1)。以上の結果、広範囲の初発グルコース濃度におけるABE発酵の動的モデル化に世界で初めて成功した


 さらに、ブタノール生産の律速経路を調べるために、構築したモデルのそれぞれのパラメータを5%ずつ変化させる感度解析を行い、ブタノール生産への影響を検討した(図2)。

 その結果、酪酸生産の逆経路はブタノール生産を正に制御し、CoA transferaseを介した酪酸再同化経路はブタノール生産を負に制御していることが明らかとなった。現在、得られた結果を基に変異株を作成中である。

 今回の成果は当センター 食品機能デザイン分野,バイオプロセスデザイン分野,佐賀大学、前橋工大との共同研究であり、以下の論文として公表した。

Shinto H., Tashiro Y., Yamashita M., Kobayashi G., Sekiguchi T., Hanai T., Kuriya Y., Okamoto M., Sonomoto K. J. Biotechnol., 131, 45-56 (2007)

コメント
今後は、各種中間代謝物を網羅的に測定するメタボローム解析によりさらなる詳細なモデルを構築し、代謝解析や培養条件の最適化を行う予定である。

研究紹介:進藤秀彰(生物資源環境科学府),園元謙二 (食品機能デザイン分野)

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